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2022.08.10

所長コラムー第2回「中小企業にとってのSDGsへの向き合い方」

 中小企業診断士の細野 祐一です。
 前回はSDGsの17の目標を、SDGsウェディングケーキモデルを元に3
つの階層に分けて、その関係性を解説しました。今回は、中小企業がどのよう
にSDGsに向き合えば良いか考察したいと思います。

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「SDGsウォッシュ」でなく経営にSDGsを取り入れる
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 「SDGsウォッシュ」という言葉を知っていますか?
 一見SDGsをやっている「ふり」をすること、これで投資家や消費者の好
感度を上げようとすることです。このような態度は、いずれ見破られ、社会か
らも社内からも反発を招きます。私は、中小企業がSDGsに向き合うとは、
中小企業の存在意義としてSDGsを明確に位置付け、行動することであると
考えます。
 21世紀に入り、中小企業をめぐる情勢の変化が厳しくなっています。グロー
バル化や地域経済の衰退、新型コロナの流行、ウクライナ危機、また企業側に
目を転じると一層深刻化する人手不足など経営課題も山ほどあります。これら
の課題に対処する上で、判断基準がブレない経営をすることが重要となります。
 そこで自社の経営理念を明確にし、経営理念にSDGsの要素を取り入れる
ことが重要になるのです。

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経営理念にSDGsを取り入れる
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 経営理念とは、企業の目的は何か、何のために経営しているのか、どのよう
な会社を目指すのかを表明した、企業の存在意義のようなものです。経営理念
に納得感があると社会から支持され、取引先、顧客から協力が得られると会社
も従業員も元気になります。この経営理念にSDGsの目標を照らし合わせる
ことで、自社の存在意義を世界の持続可能な開発目標と対応づけて考えること
ができ、多くの人の共感を得やすくなるのです。
 経営理念は、「科学性」、「社会性」、「人間性」の3つの観点で述べると
分かりやすいと言われます。それぞれの観点にSDGsの目標を関係づけ、考
慮してみると以下のようになります。

「科学性」
 物事を事実に基づき論理的に考え、自社が独自に提供できる価値は何かを明
確にする視点のこと。当社の独自の提供価値がSDGsの観点で、語れる点は
ないか考えてみましょう。例えば、「目標12.つくる責任 つかう責任」「目標
13.気候変動に具体的な対策を」、などが対応づけやすい目標になります。

「社会性」
 経済の主体者として地域社会から信頼されなくてはならない存在になる為に
何を提供するか明確にする視点のこと。自社が地域社会に提供する価値をSD
Gsの観点で表現できないか考えてみましょう。例えば、「目標11.住み続け
られるまちづくりを」、「目標16.平和と公正をすべての人に」などが対応づ
けやすい目標になります。

「人間性」
 社員の人生と人格を尊重する観点を明確にする視点のこと。この観点をSD
Gsで語れないか考えてみましょう。例えば、「目標8.働きがいも経済成長も」
、「目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう」などが対応づけやすい目標にな
ります。

 如何でしたか。意外と対応づくものだと思われた方も多いのではないでしょ
うか。
 このように自社の経営理念をSDGsの目標に当てはめることで、自社の存
在意義がより伝わりやすくなるかと思います。

                            経営改善研究所                         
                            所長 細野 祐一
                        https://kaizenvalue.com

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